基礎から学ぶ出会い系について
けっこうヘンかもしれないけど。
苦痛のショー・タイムだった。
何を歌うって、Mの「大切なあなた」とか、Tの「家に帰ろう」なんかは歌う気になれない。
さらに、リストブックをめくっても、目につくのは別れの歌ばかり。
Tの「別れの予感」、Oの「別れましょう、私から消えましょうあなたから」、Oの「さよなら」などなど。
どれをとっても盛り上がるはずがない。
せめて、リズムに乗れる曲を、と思ったのか、彼がSの「勝手にしやがれ」を入れた。
いや、彼は本心を歌に託したかったのだろうか。
「出て行ってくれ〜!」と、腹に力を入れて歌う彼を、私は、どんな顔をして眺めればいいのか。
両手でリズムをとるわけにもいかない。
趣味を楽しむはずが、神経をつかってヘトヘトになり、私たちはボックスを出た。
食事を一緒に楽しめる、ということも共通の価値観を持っていることになるだろうか。
こちらのほうは、離婚問題のまさに佳境にある時も、私たちはよく、ともにしていた。
私たち夫婦は、一緒に自炊をするには向いていなかった。
自炊では同じものを食べなければならないからだ。
体格が違い、食べ物の好みの差が大きくなってきた私たちは、なかなか同じものを楽しめなくなっていた。
しかし、外食には向いていた。
同じ店に入っても、別の料理を注文すれば良いからだ。
離婚しようという夫婦が、一緒にご飯なんて食べて、ケンカにならないのか、と疑問に思う方も多いだろう。
それは、心配ご無用だ。
私たちは6年もの時を、一緒に過ごしてきたのだ。
どんな話題は避けたほうがいいか、など、心得ている。
わざわざ食事中に、無用なケンカをしない。
遊び友達のKチャンが、感心した。
「夫婦みたいじゃん」いや、夫婦なんだけどね。
「それで、なんで、離婚するの?」夫婦は食事が一緒にできても、救われないってことだ。
仕事場でも、Kチャンと同じような疑問の声が、何度もあがった。
「離婚するって夫婦が、ふつう、一緒にメシ食う?」Sさんは、言葉が荒い。
「そうそう、ヘンだよねえ」「別れたいって言ったって、親御さんが理解できないの、わかるよ〜。
私たちだって、わかんない」仕事場には、Sさんのほか、私と同じ編集者兼ライターの女性が2人と男性が1人。
私の離婚話は、みんなの夜食のつまみ、だった。
周りから見たらヘンかもしれないが、私と夫は食事をしたり、お茶を飲みながら、淡々と離婚話をしていたのだ。
夫に浮気も白状した。
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